研究概要 |
平成13年度の研究では,対話型メンバーシップ関数(以下MF)同定法において同定されるMFの形状に影響を及ぼすと考えられる要因の抽出および検討を行った.そこで平成14年度は対話型MF同定法の改良を目的として,1)所属度の評定対象の要素の呈示順序,2)所属度の評定への確信度評定の付与の有無,3)所属度を評定する際の評語,4)所属度と確信度のカテゴリの段階数の各項目が同定されるMFに及ぼす影響あるいは効果について検討を行った. 実験は,Servletにより構築した実験プログラムとウェブブラウザを用いてインターネット上にて実施した.同定対象は「非常に背が高い」のような背の高さに関する言語表現3種とした.そして同定されたMFの形状への影響を検討するために,1)MFの形状を非凸化する要素数,2)MFの1レベル集合幅,3)MFの遷移領域幅,4)MFの重心,5)各要素当りの回答時間(確信度の間接的な推定)の各指標を同定されたMFより計算し,解析を行った. 得られた主な実験結果は次の通りである. 1)呈示順序の影響については,要素を昇順で呈示した場合,強制二者択一的評定が行われ遷移領域幅が縮小する問題が見られた.またランダム,二分木の場合,誤回答や評定の揺れにより非凸化要素が昇順よりも多く認められる傾向がある. 2)確信度評価の付与の影響については,所属度3段階と所属度2段階+確信度2段階の間には大きな差は認められなかった.また回答時間を確信度の推定に常に用いるのは困難である. 3)評語の影響については,評語を5種変えて結果の比較を行ったが、有意な差は認められなかった. 4)所属度および確信度の段階数の影響については,所属度5段階評定で強制二者択一的評定を回避できる可能性が示唆された.また所属度に比べ確信度の段階数を増加させても効果は小さいことが示された.
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