研究概要 |
マイクロスコープの先端に回転する合わせ鏡を取り付けることで,1台のCCDを用いて,動いている微小物体を三次元的に計測できる画像計測システムを試作した.本手法の利点は,回転角が小さい画像,つまり画像変位が少なく対応付けがしやすい画像から順次対応付けを行っていき,カメラが最も離れた回転角度,つまり精度が一番良い画像同士で三次元復元を行うことができる点にある.あらかじめ三次元的な形状が既知であるものを計測することで,計測性能を評価し,使用したシステム構成で5ミクロン程度の分解能で計測できることを確認した.この分解能は,レンズの倍率およびカメラの分解能によって変わり,レンズによってはサブミクロン単位の計測も可能となる. 対象が動いている場合は,合わせ鏡の回転開始位置から一周した時点での追跡点の移動長さを考慮して計測する.つまり,短い時間では移動点は等速運動をしているので,合わせ鏡が半回転した時刻に合わせ鏡が一周した位置から画像を取り込んだと過程すると一周した時の移動長さの半分だけ移動した点の位置に見えると予想される.従って,合わせ鏡が半回転した時刻に見える計測点の位置と,一周した位置で同時刻に見えるであろう点の位置関係より計測点の三次元位置を計測することができる.また,合わせ鏡を回転し続けることで,対象の運動状態の変化を連続的に計測することができ,三次元運動解析が可能となる.性能評価を行うために,電動微動ステージを用いて計測対象を既知の速度で動作させ,その時の撮影した画像を用いて実験を行い良好な結果が得られた.また,今年度は,合わせ鏡の代わりにエッジプリズムを用いた実験も行ったが計測性能には違いが無かった.
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