研究概要 |
1)光信号の空間感度分布特性を考慮した脳機能イメージ再構築アルゴリズムの検討 頭部に配置した入射・検出ファイバ対が捉える脳機能の感度分布を用いて,脳機能分布を再構築するアルゴリズムについて検討を行った.頭皮上に4〜32mmの間隔で1次元的に入射・検出ファイバ対を配置し,得られた光信号を,入射点と検出点の中点にマッピングして補間する従来法と提案法によって処理し,脳機能賦活部位の分布を求めた.ファイバ対間隔が16mm以上の場合には,2つの処理法による結果にほとんど差異はなく,賦活部位は実際よりも2倍以上に広がって推定された.これに対して,ファイバ間隔が16mmより狭くなると,マッピング法の結果はファイバ間隔が16mmのときの結果とほとんど変化がなかったのに対して,提案法では実際の賦活部位とほぼ等しい分布が推定された.このことから,ファイバ間隔が16mm以上の場合には,ハードウエアの制約によって空間分解能が低下しており,空間感度分布を利用した画像再構築で効果的に賦活領域を求めるためには,ファイバ間隔を16mm未満に設定する必要があることが明らかになった. 2)マルチスペクトル画像からの信号起源の推定に関する検討 脳組織における散乱,吸収をモンテカルロ法でシミュレーションすることによって,酸化・還元ヘモグロビン濃度が変化したときの分光反射率を求め,得られたマルチスペクトル画像を主成分分析した.得られた主成分を解析した結果,第1主成分はヘモグロビンの吸収スペクトルを検出光の実効光路長で重みづけしたもの,第2主成分は酸化,還元ヘモグロビンの吸収スペクトルの差分を実効光路長で重みづけしたものに対応していることが明らかになった.これらの結果から,マルチスペクトル画像を主成分分析することによって,血液濃度と酸素飽和度の分布を分離した形で解析できる可能性が示唆された.
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