研究概要 |
鋼橋は主に腐食や疲労によって劣化する.特に,海浜地域や凍結防止剤が散布される地域では,疲労損傷に加え,腐食損傷の進行が深刻な問題となっている.これらの損傷は年々増加しており,今後,高度経済成長期に建設された膨大な数の鋼橋の老朽化が懸念される.そこで,本研究では鋼橋を安全かつ経済的に維持管理するために,新開発した腐食促進実験装置を用いて疲労と腐食による耐久性低下のメカニズムを明らかにした上で,耐久性を精度良く評価する手法を確立する.また,疲労損傷と腐食損傷の双方に対して合理的な補修・補強方法を確立する. 本年度は構造部材・溶接継手の腐食環境促進実験および腐食劣化後の疲労試験を行った.以下に,これらの検討項目の概要について示す. 1.構造部材・溶接継手の腐食促進実験 腐食環境をシミュレートした複合サイクル腐食促進実験を鋼構造物で多用されている構造部材の溶接継手を対象として行った.実験終了後の試験体の腐食ピットをレーザー深度計により測定することで,母材部およびすみ肉溶接部について経時的な腐食特性を定量的に明らかにした.また,平成13年度の研究成果と比較検討することで,腐食劣化が問題となる実環境との相関性について検討した. 2.腐食劣化後の溶接継手部の疲労試験 1.の腐食実験後の溶接試験体を用いた疲労試験を行うことで,定期的な維持管理が行われる場合について,経時的な腐食劣化後の構造部材・溶接継手部の疲労挙動を明らかにした.
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