粘土の変形挙動を把握する前に、粘土より粒径の大きい砂の変形挙動の観察を行った。せん断帯付近の土粒子の挙動を観察するために、砂をせん断変形させる装置を開発し、せん断帯付近の砂粒子の挙動を観察した。観察には、100倍まで倍率が可変なCCDカメラを用い、開発した装置によって作られたせん断帯を観察した。 せん断帯近くの砂粒子は摩擦によって、数個の集合体のまま回転する場合と、個々の砂粒子がそれぞれ回転する場合があることがわかった。せん断帯によって周りの砂に与える影響は、砂粒の数で約10個程度であった。この影響の範囲を数値解析のパラメータとして用いる。これはコセラ連続体理論特有の長さの次元を有するパラメータで、せん断帯の幅や、解析対象物の強度などに強く影響することがこれまでの研究でわかっている。 まず、アルミ棒積層体を用いてフーチングの押し込みを疑似した模型実験を行い、アルミ棒の回転挙動を数値解析に取り入れた。実験と同条件で数値解析を行い結果を比較した。数値解析にアルミ棒の回転量を表現できるコセラ連続体理論特有パラメータを適正に用いることによって、実験結果と解析結果がほぼ同じ挙動を表現できることがわかった。なお、解析では、コセラ連続体理論に基づいた等方硬化型弾塑性構成式を導入した解析プログラムを新たに開発し、有限要素法で数値シミューレーションを行った。 アルミ棒積層体を用いた実験結果と、新たに開発したコセラ連続体理論を用いた数値解析の結果の比較で、解析手法の妥当性が確認されたため、今後は先に述べた砂のせん断帯付近の観察実験をシミュレートすることにより、解析手法の砂への適用性を確認する。さらに、粘性土に対しても適用させるため観察装置の開発を行う。
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