研究概要 |
14年度の研究成果 ◎各種の災害・事故リスクに対する防災投資の実績による意思決定者のリスク評価特性の具体的な計測[2] (1)洪水リスクに対する治水投資 全国の一級河川における治水経済調査報告書から計画安全度ごとの被害軽減額や費用に関するデータを収集し,現状の計画安全度が,当該治水施設の整備による社会的な効果が最大となるように決定されているとの仮定のもとに,計画者による洪水リスクの生起頻度や被害額に関する主観的な評価関数を推定した。その結果,現状の計画安全度が,計画者の評価する社会的効果が最大となるように決定されているとの仮定に基づけば,計画安全度の決定においては,洪水リスクの生起頻度は,実際の生起頻度よりもおおよそ3,4倍大きく評価され,また,被害額は数兆のオーダーの場合には実際の被害よりも2,3倍大きく評価されていることがわかった。 (2)斜面災害リスクに対する対策投資 降雨による斜面災害防止の目的で鉄道事業者が行った防災投資実績をもとに,鉄道事業者が斜面災害リスクをどのように評価してきたのかという,「斜面災害リスクに対する鉄道事業者のリスク評価特性」を計測した。その結果,実際の年間出現頻度が0.6件以下という斜面災害リスクにおいては,鉄道事業者は出現頻度を実際の出現頻度より若干小さく見積もっていることがわかった。また,最大で100億円程度ある(間接)被害ついては,実際の被害額を3倍以上大きく見積もっていることがわかった。
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