研究概要 |
平成13年度に実施した研究では霧発生時を対象に室内実験を行うことにより,情報提供が運転者行動に与える影響を把握した.具体的には,情報提供を行うことで(a)恐怖感を緩和し,低速走行を緩和する(b)前方車両接近時に車間を保持し,減速を緩やかにする(c)早い段階で道路線形への対応を行える(d)障害物の認知が早くなり,障害物を回避できるという走行支援効果があることが確認された.しかし同時に,(a')情報提供装置であるナビゲーションディスプレイを注視する際に走行がふらつくあるいは速度が低下する(b')ナビゲーションディスプレイの注視時間が短いあるいは注視回数が少ない運転者は前方車両の情報を十分に得られず急減速を伴うといった2つの問題が確認された.平成14年度研究ではこれらを緊急かつ重要な課題として捉え,この問題を改善しうる情報提供方法を提案し,その効果の検証を行うこととした.ここで提案した方法は,昨年度実験対象とした情報提供に対し,装置等の基本仕様は同一のままカーブ進入情報と前方車両接近情報を組み込むものである.なお,検証に必要なデータは昨年度と同様,室内実験システムを用いた走行実験から収集した.まず検証に当たっては,昨年度把握された情報提供の効果が本実験の結果から把握できるのか,つまり実験対象となる現象の一般性を確認した.これを確認した上で,前述した方法の効果を検証した結果,メッセージの提示によってディスプレイへの過度な依存が低下し視線移動の負荷が軽減されること,前もってカーブへの対応を行えるようになりハンドル負荷が軽減することナビゲーションディスプレイで前方車両の存在を把握し前方車両に接近する際に減速が緩やかになる傾向があることが確認できたうまり,研究のねらい通り,今年度の研究で提案した情報提供方法が,昨年度研究の課題を克服することを示すことができた.
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