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本研究の目的は、都市圏内の物流交通が、到着時間指定下における複数の運送業者の配車配送計画問題によって記述できることに注目し、このような配車配送計画問題の枠組みで、集配活動の効率化が都市環境・交通問題に及ぼす影響を分析することにある。本年度が研究実施計画の最終年度であることを考慮し、本年度は、前年度に構築した手法を用いて、物流システムの変化が都市圏交通に及ぼす影響を分析し、有効な物流交通対策を検討した。具体的な研究成果は、以下の通りである。
(1)物流活動の変化が交通システムに及ぼす影響の分析
IT化などによる物流活動(物流システム)の変化が、都市圏の交通システムに及ぼす影響について考察した。その際、所要時間の変動を考慮した配車配送計画の高度化を通して、物流システムの変化を記述した。その結果、配車配送計画の高度化は、配送費用や走行時間の低減を介して、物流業者にとっても社会にとっても望ましい結果をもたらす可能性があることを示した。
(2)環境負荷抑制および交通混雑緩和に寄与する方策の検討
前年度に構築したモデルを利用して、都市内の物流合理化策の中でも共同輸配送に注目し、物流改善策がもたらす環境負荷抑制および交通混雑緩和効果について分析した。都市内共同輸配送は、i)交通混雑や環境負荷抑制に効果的であるが、採算性確保の観点からは成立が困難であること、ii)顧客が都心部に集中している場合には、成立が比較的容易で大きな効果を提供できることを確認した。
さらに、顧客の到着時間指定に配慮した高度な配車配送計画は、都市内共同輸配送よりも高い効果を提供できる可能性を示した。
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