研究概要 |
本研究では,テンション材により補強された構造物の構造挙動を検討するために,課題:(1)補強された柱の構造挙動,(2)張力導入法,(3)補強されたアーチ及びドームの構造挙動,(4)補強されたアーチの座屈実験,を設定した。昨年度は課題(1)と課題(2),今年度は課題(3)と課題(4)について研究を行った。今年度は数値解析とモデル実験により以下の研究実績を得た。 1.テンション材により補強されたアーチ及びドームの構造挙動に関する解析的研究 テンション材を用いて補強されたアーチ及びドームを取り上げ,テンション材補強による構造物の変位,応力及び座屈荷重の変化,座屈性能を検討した。テンション材の配置箇所,配置パタン,初期張力のレベル及びテンション材の張力消失が座屈荷重に与える影響を調べた。 2.テンション材により補強されたアーチに関するモデル実験 スパン2000mm,ライズ300mmの偏平アーチに,直径1mmのワイヤを取り付け,実験モデルを製作した。予備実験として,ワイヤの初期クリープを取り除くための引張実験,ワイヤ張力測定金具,アーチ及びワイヤのヤング率測定実験を行った。補強されたアーチについて,ワイヤの初期張力導入実験,固有振動数を測定するための自由振動実験,集中荷重及び分布荷重による載荷実験を実施した。補強による固有振動数の変化,ワイヤの初期張力のレベルによる座屈荷重の変化,ワイヤの張力が消失した後におけるアーチの挙動,アーチの座屈モードを実験で確認した。実験結果と数値解析結果がよく一致しており,ワイヤの補強効果を確認できた。
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