研究概要 |
[1]部分的に剛性が不足し,健全でない地震時応答を示すような立体せん断型構造物モデルに対し,粘性ダンパーによる減衰性能の付与と,補剛による剛性の付与を組み合わせた耐震改修を行うときに,設計用地震動下での最大層間変位の分布が設計者の指定した分布を下回り,かつ,粘性ダンパーのコストと補剛のコストの和からなる目的関数を最小化するように,最適粘性ダンパー量・補剛量を決定する手法を構築した.本手法は,最適化アルゴリズムを適用する際に必要となる,粘性ダンパー量・補剛量の変化に対する最大層間変位の変化の割合を示す「設計感度」を,微分で計算するのではなく,有限差分により計算することで,極めて軽微な数値演算負荷により,所定の条件を満たす粘性ダンパー量・補剛量を計算することができる. [2]水平方向地震動下で所定の条件を満たすように設計された骨組構造物モデルに対して,鉛直方向地震動下で梁に生じるたわみが所定の範囲以内に収まるように,必要な梁断面の変更量を容易に決定できる手法を構築した. [3]部分的に剛性が不足し,健全でない地震時応答を示すような多層建築物に対し,最上階より上層に,適切に剛性と減衰を調整した免震装置を介して,建物総重量の10%から20%の重量を有する層を増築することにより,地震時最大応答を最大で40%低減できる「増築層免震システム」を提案した.平面せん断型モデルを用いて,増築層免震システムが組み込まれた建物の基本的応答特性と,適切な免震装置特性を明らかにした(2003年度建築学会大会で発表予定).
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