研究概要 |
木炭A,B及び古紙スラッジを原料とする炭Cの3種類を用いて、吸放湿量に関する実験を行った。木炭Aの原料は竹、木炭Bの原料は製材で発生する木材片,解体材の柱・梁材など主に針葉樹で、いずれも調湿材として市販されている。実験では、前述の3種類の炭を、それぞれ粒径2〜4mm及び4mm以上にふるい分けた6種類の試験体を用意した。 実験手順は次の通りである。まず、試験体を24時間105℃の乾燥炉に設置した後、乾燥重量を測定する。次に、人工気候室にて、ある温湿度で吸放湿がほぼ生じない平衡状態から、ステップ状に湿度を上昇させ、一定時間間隔で重量測定を行う。実験は湿度の設定の異なる5ステップについて行った。 得られた含水率の時系列実験データを用いて、実験開始後からの経過時間と含水率の関係を多項近似式に当て嵌めた場合のパラメーターa1,a2,a3,a4をNLSSQP法により求めることで、無限時間経過後の平衡含水率を求めた。更に、得られた相対湿度-平衡含水率の関係を、シグモイド・ロジスティック曲線に当て嵌めた場合のパラメーターを非線形最小二乗法により求めた。相対湿度80%以上の高湿な条件では、木炭Aがもっとも平衡含水率が高く12%近い値を示すのに対し、古紙スラッジを原料とする木炭Cの吸着量は低く3%未満となった。また、粒径による違いは殆ど見られない。 次に、前述の湿度のステップ励震に対する木炭の含水率応答について、熱水分同時移動方程式に基づく計算値と実験値の誤差を最小とする木炭の湿気伝導率及び湿気伝達率の同定を行った。この2つのパラメーターにより、木炭の吸放湿特性を予測するための熱水分同時移動解析が可能となる。
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