研究概要 |
電気泳動(electrophoretic deposition, EPD)法を用いた無機、有機材料の作製プロセッシングは非常にシンプルであり、これまでに様々な機能性材料やデバイスの創製に用いられてきている。とくに、EPD法は非常に簡便な装置で短時間に酸化物粒子を目的とする基板表面に固定化やコーティング層を形成可能な手法である。本研究では、光触媒としてのキーマテリアルである酸化チタン微粒子をEPD法によりアルミニウム電極基材上に固定化(コーティング)することを試みた。また、気体との反応性を促進させることを目的としてフッ素系樹脂であるTeflonまたはNafionと光触媒酸化チタン超微粒子との複合化をさせる手法についても検討を行った。水系チタニアサスペンションからEPD法を用いて、光触媒酸化チタン超微粒子(日本アエロジル社製P25,平均粒子サイズ21nm)の固定化が行えることを明らかにした。また、そのための電気泳動条件を明確にした。紫外線照射下におけるメチレンブルー水溶液の脱色反応により有機物質に対する光触媒作用を調査した。その結果、脱色速度はゾルゲル法などにより調製したチタニア薄膜と同等の性能を示し、EPD法で作製された膜が光触媒層として機能していることが分かった。フッ素系樹脂と酸化チタン粒子との複合膜については、現在のところ溶液(メチレンブルー水溶液)での光触媒能の評価しか行っていない。今後、気体に対する複合膜の光触媒機能に関して調査することが必要である。フッ素系樹脂と酸化チタンの複合化は、通常のセラミック技術では行うことが困難であり、電気泳動法ならではの技術であることから今後この方法での検討をさらに進めていきたい。
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