研究課題/領域番号 |
13750636
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機材料・物性
|
研究機関 | 山口東京理科大学 |
研究代表者 |
阿武 宏明 山口東京理科大学, 基礎工学部・電子・情報工学科, 講師 (60279106)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 熱電材料 / スクッテルダイト / クラスレート / ゼーベック係数 / 熱伝導率 / フォノングラス / 電子構造 / フォノン / 価数揺動 / イッテルビウム / 光電子分光 |
研究概要 |
本研究は新しい高性能の熱電材料の開発を目的とし、かご形結晶構造をもつ物質系であるスクッテルダイト化合物およびクラスレート化合物について、熱電性能を飛躍的に向上させるための電子・フォノン輸送特性の制御に関して基礎的研究を行った。特に、これらの化合物の結晶構造中に存在する空隙へ原子充填を行い、原子充填による電子構造と電子・フォノン物性への影響について調べた。 YbFe_4Sb_<12>充填スクッテルダイトについて、FeをNiで置換した化合物およびYb充填率を変化させた化合物を新規に作製して、それらの熱電気的特性について詳しく調べた。これらの化合物はp型でNi置換量やYb充填率によって熱電特性が大きく変化し、特にYb充填率が増加するとゼーベック係数が増大する効果のあることがわかった。これは価電子帯電子構造へのYb f 軌道の効果(状態密度およびバンド質量の増加)に起因すると考えられる。さらに、Yb充填率の増加に伴って、格子熱伝導率が大幅に減少した。一方、クラスレート化合物については、Ba_8Ga_<16>Ge_<30>化合物のGa組成を変化させた新規化合物を創製して、その熱電特性を調べた。この化合物で従来報告のないp型材料がGa組成を制御して作製できることがわかった。また、クラスレート化合物は、SiO_2と同等の異常に低い格子熱伝導率をもち、フォノングラス材料であることがわかった。さらに、希土類元素を系統的に充填した結果、充填原子の原子量の増加とイオン半径の減少により格子熱伝導率が低下することがわかった。これら2種類の化合物系での低い熱伝導率の主因として、充填原子の局在的熱振動(アインシュタイン)モードとホスト格子の音響フォノンモードとの間の相互作用による効果が考えられる。したがって、これらの化合物のフォノンおよび熱電物性を向上させるためには、原子充填の制御が非常に重要であることがわかった。
|