研究概要 |
パルスイオンビーム蒸着法により、結晶質SrAl_2O_4:Eu,Dy薄膜の室温堆積を行った。ターゲットにはSrAl_2O_4:Eu,Dy焼結体、これに加速電圧1MV(ピーク)、電流70kA、パルス幅50nsのパルス軽イオンビームを照射し、アブレーションプラズマを室温のステンレス鋼、ソーダライムガラス・ポリエチレンおよび単結晶Si基板に堆積させた。粉末X線回折の結果SrAl_2O_4:Eu,Dy相が検出され、フォトルミネッセンス測定の結果SrAl_2O_4:Eu,Dy相に特有な520nmの発光が見られた。このことから、室温でも結晶質SrAl_2O_4:Eu,Dy薄膜が作製できたことがあった。このことから、パルスイオンビーム蒸着法により酸化物結晶質基板を、低融点・分解温度基板上に作製できることを実証した。 新規蛍光物質探索のため、パルスイオンビームを用いた傾斜組成薄膜作製技術開発を行った。まずは全率固溶のSi_<1-x>Ge_x傾斜組成薄膜の作製を試み、その組成変化を走査型電子顕微鏡と標準サンプルを用いたエネルギー分散型X線分析法により定量した。SiとGeを接合したハイブリッドターゲットを作製した。これに上記のパルスイオンビーム照射を行った。高速度カメラにより記録された発光から、SiとGeからアブレーションプラズマをほぼ同時に発生させたことが判明した。これを基板に堆積させたところ、幅20mmにわたって組成が連続的に傾斜したSi_<1-x>Ge_x薄膜の作製に成功した。これにより、新物質探索のための傾斜組成薄膜作製技術を確立した。
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