研究概要 |
Ni基合金の腐食挙動の調査に先だって、比較対象としてまた比較的単純な系をして、基本構成元素であるNiおよびNi-3,6,10mass%Al二元系合金を用いてair,air+30.6H_2O,Ar-30.6H_2O雰囲気中,1073K,100hrの酸化実験を行った。 100hr酸化後の酸化量のAl濃度依存性はいずれの雰囲気中においても同様に、純NiからAl濃度の増加に伴って6%Alまでは増加するが、10%Alで急激に減少する。一方、酸化量の時間依存性は、Niおよび10%Al合金では、水蒸気の影響は殆ど認められないが、3および6%Al合金は、air中では、酸化の初期より酸化は放物的に増加するが、水蒸気を含む雰囲気中では、酸化の短時間側でair中とほぼ同様の挙動を示すのに対して、より長時間の酸化で酸化速度は減少する事がわかった。 断面組織観察より、いずれの雰囲気中においても、Niおよび10%Al合金では、それぞれNiOおよびAl_2O_3皮膜が形成している。Air中で酸化した、3および6%Al合金は外層NiOが生成し、合金中にはAl_2O_3の内部酸化層の生成が認められた。同様の組織は、水蒸気含有雰囲気中で酸化した試料においても認められるが、外層NiOおよび内部酸化層の厚さは、air中のそれと比較して薄くなり、air-H_2OよりもAr-H_2O中でより薄くなる傾向を示した。また、水蒸気含有雰囲気中では、外層NiOと内部酸化層の間に純Ni層が約5μm程度生成していた。 市販のNi基超合金CMSX-4およびTMS75を用いた同様の実験条件下における酸化では、TMS75は、Ni-3,6Alと同様の傾向を示し、水蒸気含有雰囲気中ではair中と比較して酸化量は低下する傾向を示すが、CMSX-4では、水蒸気含有雰囲気中で酸化量は増加し、air中と比較して厚い酸化皮膜が形成することがわかった。現時点において、これら合金種による酸化挙動の違いは、合金中に含まれる合金元素の影響であることが示唆される。
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