一般の工業生産で行われている爆発圧着法は、金属板(飛翔板)の上に爆薬をのせ、その爆発エネルギーを用いて高速飛翔させ、適当な距離を隔てて設置してあるもう一方の金属板(母材)に衝突することにより、その金属板同士を接合させる方法である。この手法を改良したものが、水中衝撃波を利用した手法であり、水中で爆薬を爆発させた際に生じる水中衝撃波を飛翔板に作用させ、それによりもう一方の金属板と衝突し、両者を接合させる方法である。この方法では、一般の工業生産では行われない材料、セラミックスやアモルファス金属泊などの接合が可能となっている。この方法の特徴としては、爆薬の厚さ、爆薬と飛翔板との距離および傾斜角、飛翔板と母材との間隙などの初期条件を変えることにより、容易に飛翔板と母材との衝突状態を変えることが可能であり、適当な条件設定によって容易に異種材料の接合が可能となる。 しかし、このような条件設定は、経験的に求めたものであり、この方法・装置の評価を行うことが重要である。そこで、本研究ではこれらの条件設定により、飛翔板にあおのように水中衝撃波が作用し、その飛翔板がどのように加速され母材と衝突するのか、数値解析シミュレーションにより、その現象解明を行った。ここで用いられる解析方法はラグランジュ座標を用いた有限差分法である。ここで開発された解析コードは爆薬の爆ごう現象から水中衝撃波の伝播過程および飛翔板の変形、飛翔板と母剤との衝突過程まで一貫して表現できるものである。これに接合界面でのより詳細な現象を理論的に解明するために、材料の高速衝突の際に生じる温度上昇とこれによる流動的挙動まで表現できるような計算プログラムの改良を試みた。また、この解析方法の妥当性を検討するために、水中衝撃波の伝播過程および飛翔板の変形速度の計測実験を行った。この結果と解析結果にから両者がよく一致していることが認められた。
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