研究概要 |
Enterobacter aerogenesにNTGを用いて変異操作を施した後,BDL生成の中間体であるアセトイン検出法であるフォーゲス・プロスカウェル(VP)反応をスクリーニングの手段として用い、VP反応陰性変異株を得た。本株(VP1株)は、ブタンジオール、乳酸収率が顕著に減少するとともに,酢酸収率が増加し、エタノール収率は野生株と変わらず,その結果,水素収率が最大で2.0mol/mol-glucoseとなった。しかし、比増殖速度が野生株の半分と低く、グルコース10g/lにて12時間培養したところ著量のグルコースが残存した。これは、酢酸を蓄積したことによる培養液pHの低下が増殖を阻害していると考え、pHを7.0一定に制御しながら培養したところ、増殖が改善されグルコースも良好に消費されるようになった。しかし、ギ酸が大量に蓄積したことから、ヒドロゲナーゼ活性の増強が必要と考えられた。E.aerogenesの持つヒドロゲナーゼの機能については未だ未解明であることから、水素生成に関与するヒドロゲナーゼ遺伝子群のクローニングを行うこととした。そこで、まずE.aerogenes野生株ゲノムをSauIIIAIで約40kbに部分消化し、BamHIサイトで切断したコスミドベクターSuperCosIにライゲーションしたのち大腸菌に感染させた。その結果約500株中からゲノムDNA断片の挿入された250個のコスミドクローンを獲得した。次に、大腸菌で既に知られている水素発生型ヒドロゲナーゼhydrogenase-3複合体タンパク質の一つをコードするhycE及びギ酸脱水素酵素fdhF遺伝子をE.coli K12株ゲノムよりPCR増幅し、コスミドライブラリーから相同遺伝子を探索したところ、それぞれの相同遺伝子を見いだした。
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