研究概要 |
本研究では、既存の透明導電性材料の電気特性の改善ではなく、新規な材料(特に透明P型半導体)の探索・発見を目的とした。以前の研究の知見より、典型的な酸化物では価電子帯においてホールが局在するため、透明P型伝導性の発現が困難である。透明電極への応用だけでなくデバイス化までの応用を考慮すると透明P型伝導性材料が必須となる。半導体分野で良く知られているII-VI系硫化物など数多くの硫化物半導体が存在するが、本研究では、それらのような従来の共有結合性の強い硫化物ではなく、イオン結合性の強い硫化物に注目して透明伝導性を見出すことが目標である。酸化物に類似して比較的イオン性の強い硫化物(アルカリ土類や希土類金属イオンイオンを含む系)を用いて新規透明伝導性材料を合成することが課題であった。本研究では、希土類金属を含む硫化物・オキシ硫化物(特にLnCuOS(Ln=希土類イオン)など)を粉末・薄膜の形状で合成し、ドーパント添加による光学的・電気的特性の変化を観察した。その結果、Ln=La, Pr, Ndの場合が、約3eVのエネルギーギャップをもつワイドギャップp型半導体であることを見出した。
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