研究課題/領域番号 |
13750775
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 晃司 京都大学, 工学研究科, 助手 (50314240)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | フェムト秒レーザー / サマリウムイオン / 価数変化 / 空間選択的 / 三次元光記録 / ガラス / 大容量光記録 / 光化学反応 |
研究概要 |
光を用いて新規な機能を発現できないか」という問題意識は、人類が工業生産を飛躍的に効率化しようと考えてきた際に出てきた自然な発想であり、高分子の光重合過程に代表されるような光化学反応や光照射による感光現象が研究され、実用化されてきた。しかし、これらのほとんどは、光のもつエネルギーを反応のトリガーとして利用することを考えており、光のもつ他の特性、例えば、位相、電場、磁場、などはなおざりにされている。本研究では、光の特性をうまく生かした新しい光誘起現象、特に、高い電場強度を有するフェムト秒レーザーの特徴を活用して、ガラス内部の微小領域に空間選択的に光反応を誘起させることを目的とした。様々なガラス組成において検討した結果、フッ化物系やホウ酸塩系のガラスにフェムト秒レーザーを照射すると、光の回折限界程度の非常に小さい空間領域(〜200nm)で、Sm^<3+>やEu^<3+>がそれぞれSm^<2+>とEu^<2+>へ還元(価数変化)されることが明らかになった。フェムト秒レーザーの集光点付近では高い電場強度により多光子過程が起こるため、電子と正孔が生成する。分光学的な手法により、その生成した電子がSm^<3+>とEu^<3+>に捕獲されるため価数変化が起こり、正孔はガラス中の欠陥に捕獲されることがわかった。この現象を利用して、ガラス内部の三次元空間に情報を書き込む実験を行ったところ、ガラス内部のある特定面内および異なった深さ方向で光記録が可能であり、その記録容量は10mm×10mm×1mmのガラス片において1Tbitと大容量なものとなった。このような三次元空間が変調されたガラス材料は、これまでの常識とは全く異なる形態を有しており、現状技術あるいは歴史的発展の延長線上に達し得ない性能を発揮すると期待される。
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