研究課題/領域番号 |
13750811
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 亮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80256495)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 高分子ゲル / N-イソプロピルアクリルアミド / 刺激応答性高分子 / 自励振動 / ベローソフ・ジャボチンスキー反応 / 振動反応 / 非線形化学 / インテリジェント材料 / 非線形科学 |
研究概要 |
本研究では、心臓の拍動のように一定条件下で自発的な周期的リズム運動を行う新しい「自励振動ゲル」を開発した。すなわち、生体の代謝反応(TCA回路)の化学モデルにもなっている、循環する反応回路を持つベローソフ・ジャボチンスキー反応(BZ反応)をゲル内で引き起こし、その化学エネルギーを力学エネルギーに転換する分子設計を行うことによりゲルの周期的な膨潤収縮振動を生み出すことに成功した。この自励振動ゲルを利用することにより、自ら周期運動するマイクロアクチュエータ、自己拍動(蠕動)型マイクロポンプ、分子ペースメーカー、情報伝達素子など新しい分子シンクロ材料が設計可能になると考えられる。本研究では、振動状態にあるゲルに外的信号(温度変化、基質添加)をパルス的に与え、振動リズムの制御を行った。 まず、ゲルの振動周期や振幅の基質濃度依存性が明らかにされた。BZ反応は、ある基質濃度を境に振動状態から定常状態(振動停止状態)、あるいはその逆へ不連続に変化するといった分岐構造を持つ。これらのことは、基質の添加・除去という外的信号によってゲルの振動リズムが制御(あるいはon-off制御)できることを意味している。実際に、外液のマロン酸濃度を定常領域と振動領域の間で段階的に変化させると、可逆的な自励振動のon-off制御が実現された。これは生体内で特定の代謝関連物質(たとえばクエン酸などの有機酸)濃度が高まったときのみ拍動するようなインテリジェントポンプ等への応用の可能性にもつながるであろう。またNIPAAmポリマーの温度応答性、Ru(bpy)_3^<2+>の光感受性を考慮すると、リズムを制御する外部信号として濃度以外に温度や光も利用することができる。
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