研究概要 |
これまで、無機-有機複合材料として期待されている環状ホスファゼン分子を配位結合を用いて自己集合させることによって、一般的な有機合成手法では合成が困難なロッド構造を有する配位高分子の合成と組織化に成功している。平成13年度には、新たにピリジル基を有するホスファゼン分子とアルキルスルホン酸銀から、配位結合と静電結合を利用した集積化によるHairy-Rod構造をもつ配位高分子の合成を試みたところ、期待通りにHairy-Rod構造を有する配位高分子が得られ、さらに、それら高分子は、側鎖アルキル基のパッキング効果によって秩序構造に組織化されることを明らかにした。この結果に基づいて、平成14年度には、アルキルスルホン酸銀とピラジン(Pyra),ピリミジン(Pymi),そしてピリダジン(Pyda)の組み合わせからなる配位子を合成し、それら配位高分子の構造と性質を検討した。いずれの配位高分子も、側鎖アルキル基のパッキング効果によって秩序(ラメラ)構造に組織化され、隣接する配位高分子のアルキル鎖同士は入れ子状になっていると推測された。Pyra Pymiと長鎖アルキルスルホン酸銀からなる配位高分子は融解したが、熱的に不安定であった。一方、Pydaと長鎖アルキルスルホン酸銀からなる配位高分子は熱的に安定でサーモトロピック液晶を示すことがわかった。
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