研究概要 |
局分子ブロックコポリマーのミクロドメイン構造を鋳型として、高分子微結晶を成長させることに成功した。この1,4-ポリブタジエン-b-1,4-ポリイソプレン ジブロックコポリマー(PB-b-Pl)を水素添加して得られたポリエチレン-b-ポリエチレンプロピレン ジブロックコポリマー(PE-b-PEP)を鋳型に用いた。プレカーサーポリマーであるポリブタジエンとポリイソプレンのマイクロストラクチャーはそれぞれ96.4%と89.1%であった。また分子量はPB-b-Pl全体が44.2kg/mol、PBが21.3kg/mol、分子量分布は1.06と1.05だった。また、ポリブタジエンの重量分率は52wt.%であり、平衡状態においてラメラ状ミクロドメインを有していた。このミクロドメイン構造を鋳型として高分子微結晶を成長さた。言い換えるとミクロドメインの構造の大きさ(数十ナノメートル)で分散された微結晶(微粒子)を作成した。条件によっては、結晶がミクロドメイン構造を破壊して成長することがあるという事も知られているので、結晶が大きく成長しないように制御することが必要となった。このため、まず結晶の成長機構を精査するためその測定装置(小角・広角X線散乱/小角光散乱またはDSC(示差走査型熱量計)同時測定装置)を制作し、結晶化のごく初期の誘導期の観察を行った。結晶化のごく初期の弱い散乱を観察するために、大型放射光実験施設(高エネルギー加速器研究機構放射光共同利用実験施設ビームライン9C)を利用した。これにより、結晶化初期における構造形成機構を明らかにすることができた。この結果を利用して微結晶(微粒子)の作成に成功した。
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