研究概要 |
昨年度、ボンバードメント法による遺伝子導入と落射型蛍光顕微鏡及び共焦点レーザー顕微鏡観察を組み合わせることにより、GFPを用いたトランジェントアッセイシステムを開発した。そして、本方法によりダイズβ-コングリシニンα'サブユニットのC末端24残基が液胞輸送に重要な働きをしていることを示した。本年度は、さらに詳細な解析を進め、α'サブユニットのC末端10残基が液胞中の区画であるマトリックスへのシグナルとなっていることを明らかにした(Nishizawa et al.,Plant J.,2003,in press)。 GFPを用いたアッセイ系に加えて、各種貯蔵タンパク質欠失ダイズに、ダイズ貯蔵タンパク質の遺伝子を導入し、間接蛍光抗体法によって輸送部位を同定するアッセイ系の構築を試みた。この方法を確立することにより、ダイズ種子貯蔵タンパク質の輸送機構をダイズ種子中で詳細に解析することが可能となる。まず、一般的な品種を用いて、内在性のダイズ種子貯蔵タンパク質(グリシニン及びβ-コングリシニン)を間接蛍光抗体法によって検出するための条件(固定時間、固定試薬、グリシニン及びβ-コングリシニンの抗体濃度、蛍光ラベルした二次抗体の濃度、抗体反応時間など)を検討した。その結果、グリシニン及びβ-コングリシニンの両抗体により、両タンパク質の液胞への局在を特異的に検出する条件を確立した。この条件をもとに、グリシニンを欠失しているダイズ種子に、グリシニンの遺伝子をボンバードメント法により導入し、発現タンパク質の検出を試みた。しかし、グリシニンを欠失しているダイズ種子の内在性タンパク質とグリシニン抗体とが非特異的に反応したため、導入したグリシニンの発現を検出できなかった。今後、使用する抗体の最適化を行うことにより、本アッセイ系を完成できるものと考えている。
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