研究課題/領域番号 |
13760067
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 渉 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30273519)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | エコーシステム / バイオフィルム / 緑膿菌 / アルギン酸 / アルギン酸リアーゼ / ポリリン酸キナーゼ / 運動性 / Sphingomonas属細菌 |
研究概要 |
バイオフィルム(BF)は、微生物の重要な生存様式(エコーシステム)であるが、その系の複雑さのために充分な解析が進んでいない。運動性を有する緑膿菌は、菌体外に多糖アルギン酸を分泌し、これをBFとして周囲から隔離された生存様式を示し、時には重篤な呼吸器疾患を発症する。さらに、BFを分解し遊離することにより、新たな部位へ移動する。BF形成に関わる緑膿菌の運動性には、ポリリン酸キナーゼ(PPK)により合成されるポリリン酸の関与が指摘されている。緑膿菌はペリプラズムにアルギン酸分解酵素(AlgL)を有するが、その遺伝子はアルギン酸合成遺伝子群と同一オペロンに存在している。AlgLの遺伝子と活性発現との相関が不明なため、AlgLの生理的意義とBF分解制御は殆ど未知である。そこで本研究では、緑膿菌BFに焦点を当て、特にPPKとAlgLが各々関わるBF形成及び分解制御機構を明らかにすることを目的とする。 AlgL大量発現大腸菌(全タンパク質の約30%)を育種し、精製系を確立した。AlgLは、これまでに当研究室で構造機能相関を明らかにしているSphingomonas属細菌由来の酵素A1-IIIと有意な相同性(30%)を示した。A1-IIIの触媒残基に相当するAlgLのHis202及びTyr256を各々Ala及びPheに置換した変異体は、酵素活性を示さなかった。従って、His202及びTyr256は、AlgLの活性発現に必須であることが明らかになった。今回、同定した触媒残基の知見に基づいて、緑膿菌ゲノム上のAlgL遺伝子に変異を導入することにより、アルギン酸合成系を修飾することなく、AlgLの機能のみを欠失させた変異株の作製が可能となる。今後、本変異株を用いて、BF分解制御機構を解析する。また、運動性を制御するPPKの構造機能相関を明らかにするため、蒸気拡散法を用いたPPKの結晶化を行っている。
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