研究概要 |
昨年度、本研究課題において、植物スフィンゴ脂質代謝関連物が、大腸ガン細胞死を誘導することを報告した。そこで本年度は、植物と真菌由来のスフィンゴイド塩基の構造とアポトーシス誘導活性との関連、および誘導機構の一部をヒト結腸ガン細胞株を用いて明らかにしようとした。数種の植物や真菌から分離したセレブロシドから常法により構成スフィンゴイド塩基画分を調製し、逆相HPLCによりスフィンゴイド塩基の各単一分子種を得た。スフィンゴ脂質との連関が示唆されているβ-カテニンの動態についてはウエスタンブロット法で解析した。培養したCaco-2細胞に20μMのスフィンゴイド塩基分子種(d18:2^<4t,8t>、d18:2^<4t,8c>、および9-Me d18:2^<4t,8t>)を添加すると、動物由来のd18:1^<4t>やt18:0と同様に10%程度のアポトーシス細胞が認められ、特にd18:2^<4t,8c>、および9-Me d18:2^<4t,8t>では他と比較して高い活性が認められた。細胞内β-カテニン含量はスフィンゴイド塩基投与で減少した。また、分化させたCaco-2細胞では、スフィンゴイド塩基はアポトーシスをほとんど誘導しなかった(3%以下)。
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