研究課題/領域番号 |
13760138
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 崇臣 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70323631)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 耳石 / 微量元素 / 日周輪 / Sr / Ca比 / 回遊 / 生態 / 生活史 / Sr:Ca比 |
研究概要 |
本研究は、魚類耳石の微量元素特性や微細構造の特徴から個体の生息水域の変化(回遊経路)や発育に関する履歴を正確に復元するための解析手法を構築することが目的である。本年度は、昨年度に引き続きサケ科魚類やウナギ属魚類を用いて、飼育実験や野外で採集した魚を用いて耳石輪紋の形成周期や、成長段階あるいは生息環境の相違にともなった耳石微量元素濃度の変動過程を明らかにすることを目的とした。その研究成果の概要は以下の通りである。(1)サケO.ketaの耳石日周輪の検証:耳石蛍光標識を施したO.ketaの稚魚を用いて耳石輪紋形成の周期性を調べたところ、標識処理後の飼育日数と標識外側の輪紋数がほぼ一致し、本種の輪紋の日周性が確認された。これにより本種の生活履歴推定に耳石輪紋解析が有効であることが確認された。また、耳石輪紋間隔は低水温で飼育すると狭くなる傾向があることが明らかになった。(2)耳石Sr/Ca比による降海型ブラウントラウトの判別:海洋生活を経ない(淡水型)個体では耳石の中心から縁辺にいたるまでSr/Ca比は一貫して低かった。一方、北海道の千歳川で採集された個体は、耳石中心から1500μmの部分までは低く、その後Sr/Ca比の急激な増加がみられ、その後耳石の縁辺部分まで高値が続いた。以上のことからブラウントラウトの耳石のSr/Ca比の低い部分と高い部分は、生息環境水中のSr/Ca比を反映し、それぞれ河川生活期間と降海後の海洋生活期間に対応しているものと考えられた。(3)三陸沿岸における海ウナギの出現:宮古湾と大槌湾で採集したウナギA.japonicaの耳石のSr濃度とSr/Ca比から本種の回遊履歴を推定した。耳石Srの濃度はすべての個体で、淡水生活に相当する部位で高値が続いた。これらのウナギは河口ウナギか海ウナギと判断された。これらの結果は、Marine Biology誌140、141号、Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom誌82号やIchthyological Research誌49号などに公表した。
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