研究課題/領域番号 |
13760143
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
足立 真佐雄 高知大学, 農学部, 助教授 (70274363)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 渦鞭毛藻 / 麻痺性具毒 / シスト / 細菌 / 有性生殖 / 麻痺性貝毒 |
研究概要 |
有毒渦鞭毛藻Alexandrium属は、異なる二つの接合型を持つ細胞が接合を行い、環境の悪変に対して耐久性を持つ休眠性接合子(シスト)を形成する有性生殖の生活環を有する。シストは、翌年春のブルーム発生の「種集団」として非常に重要視されており、どの様な条件によりシスト形成が誘起・促進されるのか、そのメカニズムを明らかにすることは極めて重要である。 著者は、シスト形成誘起因子として従来全く考慮に入れられていなかった細菌に注目して、本藻のシスト形成に与える影響について解析してきた。その結果、本有毒藻のブルーム発生時の現場細菌群集が、強いシスト形成促進活性を持ち、その動態は本有毒藻の消長と正の相関関係にあることを明らかにした(Adachi et al. 1999)。 本年度は、強いシスト形成促進効果を持つ細菌の分類学的性状について詳しく検討した。 ・シスト形成促進細菌の中で優占していた可能性が高いタイプA株は、系統解析の結果、Proteobacteria α-subclass、RhodobacterグループのRoseobacter/Ruegeriaサブグループに属し、Jannaschia helgolandensisに最も近縁であり、その配列相同性は、約95%であることが明らかとなった。 ・本件の生理・生化学的性状試験を行ったところ、本株はグラム陰性の桿菌であり、バクテリオクロロフィルaを産生しないことをはじめとしてJannaschia属の典型性状と同様の性状を示すことが明らかとなった。よって、上記の系統解析の結果と合わせて、本株はJannaschiaに属する可能性が高いことが明らかとなった。 ・また、本株の生理・性状試験結果とJannaschia helgolandensisのそれとを比較した結果、本株はいくつかの点で後者とは異なる性状を示すことが明らかとなった。さらに、上記の系統解析の分岐度を考慮に入れると、本株は新種であると考えられた。 以上のことから、本年度の実験により、シスト形成促進菌の中で優占し生態学的に重要と思われるタイプA株は、Jannaschiaに属する新種であることが判明した。
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