研究概要 |
広く用いられているFeddesの吸水モデル中のパラメータをなるべく安価かつ高い精度で推定する方法を考案し,適用を試みた。ビニールハウスに小型ライシメータを6本設置し,砂丘砂を充填した。8/15に各ライシメータに大豆を1本ずつ播種した。TDR水分計を3本ずつ挿入し,水分の変化をモニタリングした。日中は土壌面を被覆し,土壌面蒸発を抑えた。日の出直後と日没直後にライシメータの重量を測定し,日蒸散量を求めた。6本の中から2本(A,B)を選び,ストレスを与えることにした。 10/1夕方に全てのライシメータに多量に潅水し,同4日夕方にAとB以外に潅水した。6日に明らかな蒸散量の低下がみられ始めたが,7日から9日にかけては雨天・曇天が続いたため蒸散量測定は行わなかった。9日夕方にもAとB以外に潅水した。10,11日は晴天日となり,両日とも蒸散量の大幅な低下がみられた。11日夕方に全てのライシメータに多量に潅水し,水ストレスから解放した。10月下旬から塩ストレスを与えたものの,例年より初霜が早く,枯死してしまったため,塩ストレスに関するパラメータは取得できなかった。5cm刻みに採土して風乾させた後,ふるいで砂を落として根表面積分布を得た。 可能蒸散速度は,水ストレスがかかっていない個体の蒸散量から日可能蒸散量を推定し,さらに蒸散速度の日変化が日射量の日変化と同じ形状であると仮定して求めた。水分の測定値から,各時刻の水分分布を線形補間・補外によって求め,各深さの水分を土壌水分保持曲線に代入することにより各深さの圧力水頭に変換し,さらに吸水モデルから各時刻の蒸散速度を求め,これを時間で積分し,日蒸散量の推定値を得た。黄金分割法により,3日間の日蒸散量の推定値と実測値の標準誤差が最小となるパラメータを決定した。 以上の結果より,塩ストレスに関するパラメータ測定の礎を築くことができたと考える。
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