研究概要 |
(1)T/Bリンパ球欠損severe combined immunodeficiency (SCID)マウスとHuman IL-6 transgenic-SCIDマウス(IL-6 Tg)の脾臓における交感神経をtyrosine hydroxylase (TH)をマーカーとして免疫染色したところ、リンパ球領域のTH^+線維は、両マウスとも正常マウス(C.B-17)に比べて約半分に減少していた。 (2)Nerve growth factor (NGF)の免疫染色も行ったところ、NGF^+細胞はSCID, IL-6 Tgで増加していた。 (3)C.B-17の脾臓リンパ球をSCIDに移入したところ、TH^+線維の増加が見られた。 (4)脾臓中のIL-1β含量をELISA法で定量したところ、SCID, IL-6 Tgで正常マウスより増加していた。 (5)IL-1に対する反応性が高いIL-1 receptor anganonist knockoutマウス(IL-1Ra KO)では、脾臓リンパ球領域のTH^+線維が正常マウス(C57BL/6)に比べて増加していた。 河南はすでにIL-1がNGF産生を介して交感神経節からの軸索伸展を誘導することを報告している(Kannan et al.,1996)。従って、IL-1Ra KOでは、IL-1の作用によりリンパ球からのNGF産生が促進され、リンパ組織における交感神経の軸索伸展が増強されたと考えられる。しかし、SCID, IL-6 TgではIL-1β,NGFが増加しているにも関わらず交感神経は正常マウスに比べて少なく、SCIDにリンパ球を移入すると、神経線維が増加したことから、リンパ球はIL-1,NGF以外の因子を介して軸索伸展を誘導することが示唆された。また、SCIDとIL-6 Tgとで結果に差がなかったことから、交感神経の軸索伸展に対するIL-6のin vivoにおける影響は少ないと考えられる。
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