バイオビーズおよびプロトプラストを用いた形質転換体の獲得には1)バイオビーズ(供与体DNA)のプロトプラスト(受容体細胞)への取り込み、2)受容体DNAでの組み換え、3)形質の発現、の3つの過程が必要である。 まず、バイオビーズについてであるが、遺伝物質としてプラスミドDNAを吸着させた約1〜2μmのバイオビーズの作製が可能となった。作製方法としては、有機溶媒とアルギン酸ナトリウムおよびプラスミド溶液を超音波式ホモジナイザーで激しく撹拌することにより、エマルジョン化し、その後、有機溶媒を除去することにより均一な大きさのバイオビーズを大量に作製することが可能となった。 また、プロトプラスト(tobacco SR-1)内へのバイオビーズの接触・導入については、細胞融合を行う際に広く用いられているポリエチレングリコール(PEG)溶液を使用した。その際、PEGの分子量、濃度、また処理時間等の操作方法についても検討を行った。その結果、40%PEG6000溶液で30分間処理することにより、導入直後(24時間後)において、バイオビーズによる遺伝子発現(CFP発現)を確認することができたと共に、naked DNAと比較して高効率で遺伝子発現することがわかった。 遺伝子発現を確認できた系については、更に細胞生育への影響について観察を行った。その結果、細胞分裂を経て、カルス形成、茎葉分化と生育は順調で、プラスミドDNAを包摂したバイオビーズは、形質転換体の獲得に向けて非常に有望なベクターであることが示唆された。
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