研究概要 |
昨年度単離したBid結合因子(clone-2)の機能解析を進めた。1,clone-2遺伝子の発現分布をNorthern Blotで解析した。正常組織(CLONTECH社のMultiple Tissue Northern Blotを利用した)ではBrain、Liverで強いmRNAの発現を検出した。培養細胞(Cos7,Hela, HEK293,HepG2,Jurkat K562,THP1)ではHepG2細胞でやや強く、Cos7,HEK293で弱いmRNA発現を検出した。RT-PCR解析では全てのcell lineで発現が確認された。2,clone-2の安定発現細胞株の樹立を試みた。Jurkat細胞にのcDNAを組み込んだpIRES2-EGFP(CLONTECH社)ベクターを導入し、G418耐性、GFP発現を指標にclone-2の安定発現クローンを4種類得た。4クローン中2クローンがレコンビナントFasリガンドで誘導されるアポトーシスに耐性を示した。3,clone-2の細胞内局在を調べた。clone-2に対するポリクローナル抗体を作製し、HepG2細胞を免疫染色したところ、ミトコンドリアに強い染色像が見られた。HepG2細胞を分画し、western blot解析したところ、ミトコンドリアを含むheavy membrane画分にclone-2のカルボキシ末端側とみられる14kDaのバンドを検出した。clone-2の全長に相当する蛋白のバンドは確認できなかった。4,アンチセンスRNA発現ベクター導入による内在性clone-2の発現阻害を試みたが、14kDaのバンドの消失は認められなかった。 以上の結果より、過剰発現系においてはclone-2がBidで誘導されるアポトーシスに対して抑制的に働く可能性が示唆された。
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