研究課題/領域番号 |
13770131
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
三浦 富智 弘前大学, 医学部, 講師 (20261456)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | サイトカイン / 交感神経遮断 / アドレナリンレセプター / アンタゴニスト / リステリア感染 / 交感神経 / リステリア / 6-ヒドロキシドーパミン / 細菌感染防御 |
研究概要 |
近年、免疫系の調節物質であるサイトカインのレセプターが神経系細胞で検出される一方で、神経ペプチドや神経伝達物質のレセプターがマクロファージやリンパ球膜表面上に発現していることが報告され神経伝達物質がそのレセプターを介して免疫系の調節に関与することが示唆されている。我々はこれまで交感神経遮断作用を持つ6-hydroxydopamine(6-OHDA)投与マウスでは、リステリア感染に対する宿主抵抗性が増強されることを明らかにした。交感神経遮断マウスでは、リステリア感染防御に重要なTNF-α、IL-12およびIFN-γの産生が亢進され、LM特異的活性化T細胞の誘導が促進されることが示唆された。 本研究では、アドレナリンレセプター(AR)アンタゴニストをマウスに投与し、リステリア感染モデルを用いて神経系と免疫系の相互作用におけるARの関与について検討した。 リステリア感染1日後におけるphentramine(αARアンタゴニスト)およびpropranolol(βARアンタゴニスト)投与群の脾臓および肝臓の生菌数は、対照群と有意な差は認められなかった。感染2日後でも同様にARアンタゴニスト投与によるリステリア感染抵抗性の変化は認められなかった。感染4日後では、phentramine投与群の脾臓および肝臓で有意な生菌数の増加が認められた。リステリア感染防御において、感染初期における除菌はinnate immunityに依存し、感染後期ではリステリア特異的活性化T細胞が誘導され、感染細胞の除去に関与することが報告されている。Phentramine投与マウスにおいてリステリア感染4日後に感染増悪が認められたことから、αARを介するT細胞の活性化機構が存在することが示唆された。しかし、phentramineとpropranololを同時投与したマウスでは、phentramine単独投与と同様の影響は認められず、感染4日後の脾臓および肝臓の菌数は、対照群と比し有意な生菌数の差はなかった。以上の結果から、神経伝達物質はαARを介してT細胞の活性化を調節する可能性が考えられるが、αAR単独の関与ではなく免疫系の活性化において複数のカスケードが存在することが示唆される。 ARアンタゴニストマウスにリステリアを感染させ、感染1日後の脾臓における内因性IFN-γ、TNF-α、IL-12およびIL-10を測定した。対照群に比し、Phentramine投与群ではIFN-γ、TNF-αおよびIL-12が増加していた。これらのサイトカインはリステリアの感染防御において重要なサイトカインである。感染後の菌数を比較すると、感染1日後ではいずれの群においても対照群と有意な差が認められないにも関わらず、サイトカイン産生性に変化が認められたことは興味深い知見である。
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