研究課題/領域番号 |
13770150
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 剛 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90324847)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | ボルナ病ウイルス / 持続感染 / 輸送機構 / 核輸送 |
研究概要 |
ボルナ病ウイルス(BDV)は他の動物モノネガウイルスの中で唯一、感染細胞の核内で複製する。本研究では、BDVの複製機構を解明するため、BDV主要抗原の核内外輸送機構について解析を行った。 (平成14年度研究実績) BDV PおよびX蛋白質の細胞内局在調節機構の解明 BDV P蛋白質は核移行シグナル(NLS)を保持することから、単独では核に局在する。しかし、BDV持続感染細胞内ではP蛋白質は細胞質にもその局在が認められる。P蛋白質はウイルス複製、病原性に重要な因子であることから、P蛋白質の細胞内局在調節機構について詳細な解析を行った。その結果、P蛋白質はX蛋白質の存在下では細胞質に局在した。PおよびX蛋白質は同一のmRNAから合成される。そこで、PおよびX蛋白質の発現量比について検討した結果、PおよびX蛋白質の発現量比は感染細胞内で調節されていることが明らかとなった。以上の結果より、BDVは複製に必須のウイルス蛋白質の発現量を変化させることで、細胞内局在を調節し、ウイルス複製を行っていることが示唆された(投稿中)。 BDV P蛋白質の核外輸送活性の解明 P蛋白質領域内にはメチオニン残基に富む領域が存在している。P蛋白質はX蛋白質の存在下では細胞質に局在する。しかし、この領域のアミノ酸欠損および置換変異体ではPおよびX蛋白質は核内に蓄積した。そこで、より詳細に解析を行った結果、P蛋白質のメチオニン残基に富む領域は核外輸送シグナル(NES)として機能していることが明らかとなった。以上の結果より、P蛋白質はNLSおよびNESを保持し、BDVの核内外の輸送に深く関与している可能性が示唆された。また、X蛋白質はP蛋白質との結合により、P蛋白質のNLS機能を阻害する。このため、BDV蛋白質の細胞内局在は蛋白質間相互作用により調節されている可能性も示唆された(投稿準備中)。
|