研究概要 |
1、LIMP II融合インフルエンザHA DNAワクチンの作成 マウス線維芽細胞NIH3T3細胞より得らたcDNAライブラリーを用いマウスLIMP IIの遺伝子の単離を行った。C'末端にLIMP IIのライソゾームターゲットシークエンスを融合させる形でインフルエンザウイルスのHA及びNAのDNAワクチンを作成した。C'末端にLIMP IIのtailを融合させる事により発現されたワクチン抗原はMHC class IIを介する抗体誘導の増強が期待される。 2、ユビキチン融合及びLIMP II融合インフルエンザDNAワクチンの発現と細胞内動態 作成したユビキチン融合及びLIMP II融合インフルエンザDNAワクチンを293T細胞に導入し、ウエスタンブロッティングにて発現を確認、及び蛍光抗体法を用い細胞内での局在を調べた。また、細胞内での動態を調べるためにS35メチオニンラベルした細胞を用いパルスチェース法を用い蛋白発現後の時間的動態を解析した。結果、ウエスタンブロッティングでのワクチン抗原の発現確認ではHAのDNAワクチンでは強い発現が確認されたがHA-LIMP IIでは少量の発現が、Ub-HAではほとんど抗原が見られなかった。しかしパルスチェイス法では3種類のワクチン共に発現がみられ特にHAでの発現が多く又Ub-HAでは発現後速やかに分解されている事がわかった。この結果はユビキチンの融合によりワクチン抗原がプロテオソームに運ばれ速やかに分解されている事が示唆される。 3、HA, Ub-HA, HA, LIMP II DNAワクチンの抗体応答の比較 作成した3種のインフルエンザHAワクチンを用いマウスにエレクトロポレーション法を用いて接種しHA特異的抗体をELISA法を用いて測定した。マウス大腿の筋肉内に1〜10μgのDNAワクチンを接種し100V6回のパルスでエレクトロポレーションを行った。3週間隔で2回免疫しさらに2週後の血清、鼻腔洗浄液を回収しIgA, IgGを測定した。この条件での抗体応答はHA 10μgで行ったものが最も高くそれは抗原の発現量に比例していた。モディファイしたDNAワクチンの発現量を増やす工夫が必要である。
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