研究概要 |
フラスコにて培養した1x10^9個のFLC4細胞を培地制御槽に播種し、1日当たり無血清または2%血清添加培地50-100mlを用い、温度を37度より徐々に低下させ培養したところ、肝細胞を100日以上の長期に渡り、継代することなしに培養することができ、その間、酸素消費量、グルコース消費量などで示される肝細胞の活動性は保たれていた。 この3次元培養系に感染性クローンRNA 10ugをトランスフェクションしたところ、培養上清中のHCVRNAはトランスフェクション後から徐々に減少し、44,47,51,54日目には10^3copies/ml未満が続いたものの、その後57日目に再び10^4copies/mlまで増加し、100日目まで約10^<3-4>copies/mlと持続した。また、培養上清中のコア蛋白も徐々に増加した。この培養液中のウイルス粒子の存在様式を調べるために、トランスフェクション後100日目前後の培養液を超遠心法で濃縮し、電子顕微鏡で観察したところ、様々なサイズのウイルス様粒子が認められた。この濃縮培養上清について抗HCVE1抗体を用いた金コロイド免疫電顕間接法を施行したところ、特異的に反応する50-60nmのウイルス様粒子を認めた。 そこで濃縮培養上清をショ糖密度勾配法にて分画したところ、コア蛋白の多い分画の密度は約1.07および1.18g/mlで2峰性になり、HCV RNAの多い分画は約1.07g/mlであった。このことから培養液中に2種類のウイルス粒子の存在が示唆された。平成14年度はそれぞれの分画について抗core, E1,E2抗体を用いた金コロイド免疫電顕間接法を施行し、より詳細な粒子の性状解析を行う予定である。
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