研究概要 |
[目的]本研究は、中学生の不登校の予防、あるいはその兆候発見の一助となるよう、不登校傾向と関連する要因を明らかにすることを目的とした。 [対象と方法]茨城県内7市町村の公立中学校7校に在籍する生徒3,011人を調査対象とした。回収率は96.6%(2,908人)であった。調査項目は不登校傾向、基本特性(性別、学年)、行動特性(部活動参加、学校以外での勉強、保健室の利用頻度、家族行事への参加)、健康習慣(睡眠、運動、朝食の摂取状況、間食、喫煙経験、飲酒経験)、心理社会的要因(抑うつ症状、日常生活ストレッサー、セルフエスティーム、ソーシャルサポート)であった。不登校傾向の定義は「過去1年間で、学校に行くのが嫌で学校を1日以上休んだ経験あり」とした。統計解析にはロジスティック回帰分析を用い、オッズ比とその95%信頼区間を算出し、不登校傾向と各項目の関連性を検討した。 [結果]303人(10.4%)の生徒が不登校傾向にあった。不登校傾向の生徒は男子より女子、1年生より2、3年生に多く見られた。保健室利用頻度、抑うつ症状は不登校傾向と強い関連を示し、抑うつ症状の得点が高くなるにつれて、また、保健室の利用頻度が高くなるにつれてオッズ比が有意に上昇した。睡眠習慣との関連について、不登校傾向群の生徒は一般群と比較して睡眠時間が短く、就床時刻が遅い傾向にあった。睡眠時間が7時間未満の生徒は、7〜9時間の生徒に比べ不登校傾向のリスクが高く、オッズ比は1.67であった。また、就床時刻が午前1時以降の生徒は、午後11時前の生徒に比べてリスクが高く、オッズ比は2.35であった。起床時刻と不登校傾向との関連は見られなかった。本研究で明らかになった要因については、不登校の予防要因、あるいは不登校予備群のスクリーニング項目として今後詳細に検討していく必要があるものと思われる。
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