研究概要 |
脳血管疾患死亡率地域差と平均血圧の地域差の関連と年次推移を検討するため 1)血圧値の県別地域差とその年次推移 2)県別の血圧値と脳血管疾患死亡率の関連と年次推移 3)県別血圧低下と脳血管疾患死亡率低下とその関連について以下の解析を行った。 対象は30歳から69歳までの沖縄県を除く1979年から1994年(第1期1979-1983年第2期1984-1989年第3期1990-1994年)における国民栄養調査対象者男性51188人(平均48.3±11.0歳)、女性72023人(平均47.8±11.0歳)である。データは平成11年度統計情報高度利用総合研究事業「指定・承認・届出統計の有効活用に関する研究班」班の事業成果として得た。 各期性別県別年齢調整平均収縮期血圧(SBP)拡張期血圧(DBP)および性別県別5歳階級年齢調整脳血管疾患死亡率を算出した。各期年齢調整SBP, DBPおよび年齢調整脳血管疾患死亡率から各期の相関係数を算出した。さらに第1期から3期の県別SBP、DBPの差を血圧低下度として算出し県別血圧低下度順に上位15県(H群)下位15県(L群)その他を16県(M群)とした。そこで脳血管疾患死亡率の低下度で第1期から3期の県別年齢調整別脳血管疾患死亡率差を算出してH、M、L群の年齢調整死亡率低下度を一元配置分散分析にて検討した。 年齢調整SBPは男性女性とも低下傾向を示した。年齢調整DBPは男性では上昇傾向、女性ではほぼ不変であった。性別年齢調整収縮期血圧、拡張期血圧と脳血管疾患死亡率の関連は経年的に小さくなる傾向が認められ、男性では強かった。また血圧値が低下した県ほど脳血管疾患死亡率の低下が大きい傾向がI期から3期にかけて女性拡張期血圧の場合を除き認められた。男性収縮期血圧の低下度でH群とL群の間に一元配置分散分析で有意差(P<0.01)が認められた。
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