RH遺伝子のマウスオーソログであるRhced遺伝子とその周辺領域約158kbの塩基配列を、BACクローンを用いて決定し、その結果をDDBJに登録し、2002年10月公開された。既存の報告と併せて解析した結果、ヒトRH遺伝子が存在する第1番染色体短腕の領域と、マウスRhced遺伝子が存在する第4番染色体の領域のシンテニーは強く保存されていることが明らかになった。 Rhced遺伝子の周辺に存在する2個の遺伝子(AMP1、AK003528)について、細胞内局在を明らかにするために、それぞれの遺伝子のGFP融合蛋白を作成し、それをHela細胞に導入した。その結果SMP1は細胞質に局在しており、疎水解析の結果と併せて考え、細胞内小器官の膜表面に存在していることが推測された。一方AK003528は、アミノ酸配列において59番目から63番目に"KKRKK"の核移行シグナルが存在しており、GFP融合蛋白の実験でも核に局在することが明らかにされた。AK003528は、その後の解析よりヒトのオーソログが存在することを発見した(FLJ10747)。この蛋白は疎水解析からN末端に長い細胞質ドメインを持つ膜蛋白であることが推測され、AK003528はこの細胞質ドメインに相当した。以上の実験から、AK003528を細胞質ドメインとして有する膜蛋白は、その細胞質成分が核移行性を有する事が推測された。このような性質を持つ蛋白は一部の膜結合型転写因子に見られるが、AK03528自体に明らかな機能ドメインは認められず、今後の詳細な検討が必要であると考えた。
|