我々は現在まだ未知である抗リン脂質抗体症候群の発症機序として、線溶と血栓阻止の重要な経路であるトロンビン(Tb)-トロンボモジュリン(TM)-プロテインC(PC)系に着目し、PCに対するリン脂質非依存性の自己抗体の存在について検討を行なうこととした。PCを抗原としたELISA法による抗体アッセイ系を用い、SLE61例のストック血清102検体のPC抗体を測定した。この検討から抗PC抗体は経過中に消長を繰り返すものが多くみとめられ、治療あるいは血栓症の発症と関連を追及中であるが、抗PC抗体陽性者の80%は血栓症を発症していた。抗β2GP1抗体との相関はなかったが、血清中のβ2GPIがβ2GP1-PC複合体を形成している可能性があり、検体のβ2GP1血中濃度の測定、β2GP1の添加による抗体価の変化、血清のIgGのみをとりだしてなお活性が維持されるか等の検討が必要であると考えられた。そこで、現在も継続し解析を継続中である。
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