ヒトβ-カテニンのクローニングをPCR法を用いて行ったが、cDNAの塩基配列に異常を認めたためsite directed mutagenesis法にてより修正を行った。 得られたβカテニンc-DNAを制限酵素で切断し、それらをGST-fusion proteinを発現するベクターであるpGEXベクターに組込んだ。それぞれのベクターで大腸菌DH5αをトランスフォーメーションし、IPTGの存在下に大腸菌を増殖させた。大腸菌をdetergentを含むlysis bufferにて溶解し、その可溶化液をpolyacrylamide gel(SDS-PAGE)に展開し、抗βカテニン抗体を用いたwestern blotにてGST融合蛋白質の発現を確認した。しかしながらからpGEXベクターへのサブクローニングに難渋し、また大腸菌の溶解条件が適切でなくwestern blotにて純度の高い融合蛋白質がなかなか得られなかった。諸条件を決定ののち、適切なpGEXベクターを有する大腸菌を培養し、途中でIPTGを加えさらに培養して大量に得た。これをlysis bufferにて溶解し、可溶化液をSDS-PAGEにて蛋白質の発現を確認した。 次に融合蛋白質の精製のためaffinity chromatographyを行った。glutathione agarose beadsを大腸菌可溶化液とインキュベーションし、このビーズをPBSで数回洗浄ののちelution bufferでさらにインキュベーションした。elutionを数回行いSDS-PAGEを施行したが溶出効率が悪く、ビーズをsepharoseに変更しelution bufferも条件を変えた。 今後は得られた融合蛋白質をSDS-Polyacrylamidegelとco-polymerizeさせる。胃癌細胞株MKN7、MKN28、MKN45、Kato-IIIよりそれぞれ細胞可溶化液を得て、それらを同ゲルに泳動する。ゲルを還元剤使用の後、泳動された蛋白質をグアニジン塩酸にて一旦変性させ、のち再生させて32Pとともにインキュベーションする。その後ゲルを洗浄、乾燥させ、オートラジオグラフィーに供する予定である。
|