研究課題/領域番号 |
13770279
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪歯科大学 (2002) 東京慈恵会医科大学 (2001) |
研究代表者 |
伊達 昌孝 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (40333083)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | TGF-β / 肝リンパ球 / 肝線維化 / 肝再生 / CCl_4 / Concanavalin A / CCl4 |
研究概要 |
(目的)TGF-βは肝障害時に伊東細胞などの非実質細胞において発現が誘導され、肝線維化や肝再生に重要な役割を果たすと考えられている。また、各種リンパ球、特にT細胞やNK細胞もTGF-βを大量に産生し、免疫抑制に関与することが明らかにされてきた。一方、障害肝においてはリンパ球の浸潤が強く見られるが、肝リンパ球からのTGF-βの産生については明らかにされていない。我々はマウス肝障害モデルと肝細胞および伊東細胞の初代培養細胞を用い、肝障害時の肝リンパ球におけるTGF-β発現と活性について検討を行った。(方法)C57BL/6マウスにCCl_4またはConcanavalin Aを投与し急性および慢性肝炎モデルを作成した。肝臓を摘出し、35% Percollを用いた比重遠心法にて肝リンパ球を分離、肝リンパ球数をカウントした。TGF-β mRNAの発現はNorthern Blot Hybridization法およびReal Time RT-PCR法にて検討した。また、分離した肝細胞と伊東細胞にp3TP-Luxベクター(TGF-βに感受性を持ったPromotorを組み込んだLuciferase reporter gene)を導入し、抗TGF-β中和抗体存在下および非存在下で、Transwellを用いて肝リンパ球とCo-culture後、Luciferase活性を測定した。(結果)正常肝リンパ球はTGF-βを発現し、その発現はCyclocheximideの添加により増強した。また、肝リンパ球とのCo-cultureにより、p3TP-Luxを導入した肝細胞および伊東細胞のLuciferase活性が誘導され、その活性は抗TGF-β中和抗体にて抑制され、Cyclocheximideの添加により増強した。急性および慢性肝障害モデルでは共に障害時に、肝組織全体においてTGF-βの発現誘導が認められた。また、分離肝リンパ球では肝障害の有無によりTGF-βの発現の変化は認められなかったが、肝リンパ球の総数は急性、慢性ともに障害肝では増加していた。(結語)肝リンパ球はTGF-βを発現しており、肝細胞および伊東細胞に対して生物学的活性を有していた。また、肝障害の有無により肝リンパ球におけるTGF-β発現に差を認めなかったが、肝リンパ球の増加により肝リンパ球由来のTGF-β発現の絶対量は正常肝に比べ増加していると考えられる。以上の結果は、肝リンパ球由来の活性TGF-βが肝障害時に肝線維化、肝再生に影響を及ぼす可能性を示唆する所見と考えられる。
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