研究課題/領域番号 |
13770292
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
海老原 覚 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90323013)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 抗腫瘍効果 / ロキソプロフェン / Vascular Endotherial Growth Factor / 血管新生 / 肺癌 / 電子カルテ / アンジオテンシン受容体拮抗薬 / 在宅看護 |
研究概要 |
ロサルタン及びカンデサルタンという2種類のアンジオテンシンII受容体拮抗薬とACE阻害薬であるエナラプリルを投与してC57BL6マウスの皮下腫瘍(LLC)の増大に対する効果を、何も投与しない群(コントロール群)と比較したところ、この3種類の薬剤はどれも有意さがなかった。しかし、たまたま投与してみたNSAIDであるロキソプロフェンが有意に腫瘍の増大を抑制したのでそれについて詳細に調べてみた。まず、ロキソプロフェン投与群とコントロール群の腫瘍中血管新生の具合を第8因子で免役染色することにより調べた。するとロキソプロフェン投与群の腫瘍のするとロキソプロフェン投与群の腫瘍には有意に血管が存在していた。次に我々はロキソプロフェン投与群のVascular Endotherial Growth Factor(VEGF)のmRNAの発現をPCR法で調べたところ、コントロール群に比べて優位に低下していた。さらにELISA法により蛋白も定量してみると、ロキソプロフェン投与群にて有意に蛋白濃度も低下していた。マウスの血清を調べてみると、VEGF蛋白の濃度は有意に皮下腫瘍のあるマウスで上昇していて、それがロキソプロフェンを投与することにより抑制されていた。以上のことよりロキソプロフェンはVEGFの産生を抑制することにより腫瘍の血管新生を阻害し抗腫瘍効果を表している可能性が示された。さらに臨床応用を視野に入れて我々は実際の肺癌患者にて血中のVEGF濃度をELISA法により調べた。すると血中VEGF濃度は患者によってばらついていたが、同一肺癌患者においてロキソプロフェン投与の前後で血中VEGF濃度を調べた所、有意にロキソプロフェン投与中に血中VEGF濃度は低下していた。このことはマウスで確認されたロキソプロフェンの腫瘍を制御する効果が、人の肺癌患者においても発揮しうる強い可能性が示唆された。
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