研究課題/領域番号 |
13770293
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊地 利明 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10280926)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 遺伝子 / 癌 / トランスレーショナルリサーチ / バイオテクノロジー / 免疫学 / トランスレーショナル リサーチ |
研究概要 |
本研究では当初、T細胞を呼び寄せるケモカインを樹状細胞に産生分泌させ、樹状細胞がT細胞に抗原提示するステップを増強させることを考え、その腫瘍免疫への応用をめざした。そして、T細胞の遊走を刺激するケモカインとして、macrophage-derived chemokine(MDC、別名stimulated T cell chemotactic protein-1、STCP-1)を取り上げ、MDCを樹状細胞内で発現させるために、MDCを発現する組換えアデノウイルスベクター(AdMDC)を準備した。しかし、研究を進めていく過程において、このようなケモカインは内因性に樹状細胞が産生しているものであり、むしろ腫瘍組織へ異所性に発現させた方が、その抗腫瘍効果が高まるのではないかと考えた。 そこでこの仮説をin vivoで検証するために、マウス大腸癌細胞やマウス悪性黒色腫細胞を用いて、マウス皮下腫瘍モデルを作製した。これらの腫瘍にAdMDCを投与し、腫瘍細胞にMDCを発現させたところ、コントロールに比し有意に腫瘍の増殖が抑制された。そして、腫瘍へのAdMDC投与により、腫瘍特異的な細胞障害性T細胞が宿主内で誘導されているることが、CTLアッセイでわかった。さらに、このAdMDCによる抗腫瘍効果は、CD8の欠損マウスでは消失したことから、抗腫瘍効果における細胞障害性T細胞の重要性が裏付けられた。また、AdMDCを投与した腫瘍を免疫組織染色法で調べてみると、腫瘍内にCD8^+T細胞の集積が認められた。 以上のことから、AdMDCを腫瘍内で発現させると、腫瘍に細胞障害性T細胞が呼び寄せられ、抗腫瘍効果が誘導されると考えられ、MDCの腫瘍内発現は腫瘍免疫療法として有用であることが示唆された。
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