1.リーリンTgマウスの解析 CaM-kinase II promoterの制御下にリーリンを発現させるトランスジーンを構築し、7系統の独立なTgマウス系統を確立した。成体脳でのトランスジーンの発現量をノーザンブロットで解析したところ、全ての系統でトランスジーンの発現が認められた。このうちTgR5系統のマウスにおいて比較的高い発現が認められた。全てのTg系統において、タンパク質の発現をイムノブロットで解析したが、成体脳では発現を検出できなかった。また、免疫組織化学によって、海馬、大脳皮質等での局所的なリーリンタンパク質の発現を検討したが、コントロールと比較して顕著な差はみられなかった。リーリンシグナルの下流に存在すると仮定されるDab1分子のチロシンリン酸化、タウ蛋白のリン酸化状態を調査した。成体脳の海馬、大脳皮質からタンパク質を抽出し、抗リン酸化抗体でイムノブロットを行った。現在までのところ、Dab1またはタウ蛋白のリン酸化状態に顕著存変化があるTg系統は見いだされていない。また、抗ホスホチロシン抗体、抗ホスホセリン抗体、抗ホスホスレオニン抗体を用いたイムノブロットの結果からも、Tgマウスにおいて、特異的にリン酸化状態が変化しているタンパク質は見いだされていない。 2.リーリンTgマウスとアポEヒト化ノックインマウスの掛け合わせによる二重Tgマウスの作出と解析 アポEヒト化マウスは遺伝的背景がリーリンTgマウスと同一のC57Bl/6系統のコンジェニック化に成功した。
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