研究概要 |
簡便かつ客観的な局所血流の非侵襲的評価の確立を目的とし,電磁誘導方式血流評価システムを用いて末梢血流モデルでの基礎検討および,上腕圧迫による血流速度と出力電位変化の関係について検討した. (1)電磁誘導方式血流評価システム:双極性電極(Ag-AgCl)を前腕遠位部にて橈骨動脈上に貼布し,励磁コイル(1,800T),フェライト(芯材)で構成した交流磁界ユニットを設置した.交流電流ユニットは周波数約500Hz,150mAにて励磁し,磁束密度約50Gを血管に印加した.検出された誘導電圧は約80dB増幅し,500HzのBPFにて励磁電流と同じ周波数の信号のみを取り出し,実行値変換することで血流(拍動)波形を得ることができた. (2)血流モデルでの基礎検討:定量ポンプ(ProMinent gamma 4a),シリコンチューブ(内径4mm,外径9mm),および生理食塩水にて末梢血流モデルを作製した.約42G(交流磁界500Hz)の磁束を印加し,流体に接触するように設定した双極性電極にて誘起された起電力を検出した.その結果,0.32cm/secにて32.1mV,0.50cm/secにて53.2mV,0.67cm/secにて84.4mV,0.83cm/secにて114.9mV,0.95cm/secにて131.3mV,1.08cm/secにて158.9mV,1.26cm/secにて185.3mVと流体の速度に対応した電位が検出された. (3)上腕圧迫下での血流計測:電磁誘導方式血流評価システムおよび超音波ドップラー血流計を用いて血流計測から10秒間の拍動波形のピークを検出し(超音波ドップラー血流計においては直流成分を除いた),その平均値を求めた.安静時における各計測結果100%とすると,超音波血流計では量高血圧の約7割の圧迫下で163%と上昇し,8割で108%,9割で77%と徐々に下降した.また,電磁誘導方式血流評価システムにおいても約7割で192%,8割で121%,9割で82%と同様の傾向を示した.以上から,本評価法は相対的な血流変化の評価法として有効であることが確認された.
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