研究概要 |
目的:児童及び成人の随伴性陰性変動(CNV)とその後の脳波回復過程を研究することで、注意、認知などに関する脳機能の発達的変化を明らかにすること。 対象:成人7名(平均260.57±21.1ヶ月)、児童8名(平均110.63±152ヶ月)。 方法:被験者に刺激間間隔2秒、50%確率の音刺激弁別ボタン押し課題を課し、CNVを測定した。また、ウィスコンシンカード分類課題、WISC-III知能検査の「積み木模様」「数唱」「迷路」K-ABCの「位置探し」を施行した。そして、非標的時すなわちボタン押しをしなかった時のFz、Czにおける早期及び後期CNVの振幅、CNV解消時間を、成人群と児童群で比較した。そして、早期及び後期CNVの振幅、CNV解消時間と認知検査粗点の相関を見た。 結果:早期及び後期CNV振幅は成人群-児童群間で有意差は認められなかった。Fzにおいて後期CNVが出現した成人7名と児童7名のCNV解消時間は、成人群が児童群よりも有意にCNV解消時間が短かった(p<0.01)。Czにおいて、後期CNVが出現した成人7名と子ども5名のCNV解消時間は、成人群-児童群の間で統計的有意差は認められなかった(t=-1.99,p=0.74)。早期及び後期CNVの振幅、CNVの解消時間と認知検査スコアの相関は、Czで導出された後期CNV振幅とWISC-IIIの「迷路」に有意な相関(r=.604,p<0.05)が認められたが、他では認められなかった。 結論:CNV振幅には成人-児童間で明らかな差が認められないが、後期CNVが出現した対象者のCNV解消時間を比較するとFzにおいて、成人群が児童群よりも有意に短く、注意して反応した後の脳内の過程に児童-成人間で差があることが示唆された。そして、CNV振幅とその解消時間は加齢に伴う視覚記憶、聴覚記憶、実行機能課題などのスコア向上とは関係がないと推察された。
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