研究概要 |
まず,正常皮膚の表皮真皮境界部の三次元画像化を行った。肩の正常部では,網状の形態をとる表皮突起と,その網の孔の部分に一致する真皮乳頭の形態を三次元的に画像化することができた。一方,手掌の皮膚では,表皮側が溝になっている部分では表皮真皮境界部も真皮側に凹になっており,表皮真皮境界部の形態が表皮の表面側の皮野・皮溝の構造と対応する様子が画像化できた。 さらに,同様の方法を用いて,足底の色素性母斑の三次元再構築を行った。この方法では,表皮のコントラスト差を用いて表皮を切り出すため,色素性母斑の母斑細胞巣は真皮側として認識される。表皮側を真皮側から見ると,母斑細胞巣が入り込んでいるため,真皮表皮境界部は不規則になっている。真皮側を見ると,この部分では母斑細胞巣の分布にははっきりとした規則性が見られなかった。 血管内皮細胞と腫瘍の関係を2重染色するための予備実験として,色素性母斑における3次元画像を表皮側を上から見た画像に,母斑細胞巣だけを切り出して赤に着色した画像を重ねる処理を行った。この方法によって表皮を表面から見た皮野・皮溝の状態と母斑細胞巣分布の関連が色の違いによりはっきりとわかるようになる。しかし,少なくとも今回検討した部分では,皮膚の表面構造と母斑細胞巣の分布にははっきりとした関連は見られなかった。
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