研究概要 |
平成13年度の研究をもとに,非典型的であり確定診断がなされていない早老症,癌多発症家系について蛋白レベルでの解析,genomic DNAレベルでの解析を多数の検体で行った。その結果,EBウイルスで不死化したリンパ球からの,蛋白解析では,RecQ1バンドが正常コントロールに比して長いあるいは,短いバンドを検出する家系が有ることがわかった。この多様性の原因についてさらに調査した。 患者線維芽細胞を用いた紫外線照射後のDNA修復能には,以上は認められなかった。しかし不死化リンパ球population doubling levelは,正常コントロールと比して明らかに短く細胞周期をコントロールしている蛋白あるいは,テロメア長をコントロールしている蛋白に関わっていることが予想された。これらをもとに,genomic DNAの変異の有無を,RecQ1について調べた。PCR法とDirect Sequence法とを用いて,イントロン-エクソン-ボーダーを確認した後,エクソン領域にプライマーがかからないように設計し,全塩基配列をシークエンスした。その結果,RecQ1領域には,変異は認められなかった。しかし,関連遺伝子であるRecQ4に,E267D、R1005Qの変異が検出された,これらの変異が直接,病態の発症に結びつくかは現在のところ明らかではないが,例えば,個々のアミノ酸置換は単なる多型であっても、2つの変異が同時に存在することで、蛋白質の高次構造の変化などを伴い、機能変化に結びつくといった可能性も予想される。さらに,この研究に関連した,基礎研究ならびに,いくつかの症例報告をPublishした。 11研究発表の項に,記載した。
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