研究概要 |
拘束ストレスは、血中のグルココルチコイドの上昇をきたし、様々な免疫抑制を引きおこすことが知られている。本研究の目的は、一旦成立した免疫記憶がストレスによりどのような影響を受けるのかを明らかにすることにある。 1)naive, memory T両T細胞の量的変化の検討 C57Bl/6マウス(8W♂)に計3回拘束ストレスをかける。ストレス前、中、終了後に脾細胞を採取し、総細胞数、CD4,CD8陽性T細胞数を測定した。総細胞数は、拘束ストレス施行3回目において約7%まで減少し、ストレス終了後10日目にほぼ正常に回復した。表面マーカーでは、CD4陽性細胞の減少の割合がCD8陽性細胞より大きかった。拘束ストレス終了後10日目で、総細胞数、T細胞数共にストレス前の状態まで回復した。拘束ストレス前後の脾細胞におけるmemory T細胞のマーカー(CD45^<neg>, CD44^<hi>, CD62L^<lo>)には一定の傾向がみられなかった。 2)naive, memory T両T細胞の質的変化の検討 ConA刺激によるT細胞増殖能は、拘束ストレスの有無には関係なかった。しかし、Heat Killed Listeria monocytogenesに対する抗原特異的な反応は拘束ストレスにより低下した。IFN-γ産生能も抑制された。以上の結果より、拘束ストレスはmemory T細胞の数を減少させる可能性が示唆された。
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