研究概要 |
好酸球の浸潤にかかわることが明らかとなっているCCケモカインであるeotaxin, eotaxin2,eotaxin3が,アトピー性皮膚炎のどのようなstage(急性期の紅斑,丘疹,慢性期の苔癬化病変など)の皮疹にどの程度発現しているかを明らかにするため,各stageの皮疹を用いて免疫組織学的検討を行った。その結果,stageに関わりなくeotaxin, eotaxin2については表皮細胞に発現が見られた。以上より,この2つのケモカインはアトピー性皮膚炎の好酸球性炎症に関わっていると考えられたが,stageについてははっきりしなかった。さらに,eotaxin, eotaxin2,eotaxin3が,表皮細胞に発現することを誘発する因子は何かということを,培養正常表皮細胞と表皮細胞株において各種炎症性サイトカイン(TNF-alpha, IFN-gamma, IL-4, IL-1betaなど)を中心にELISA法を用いて検討した。その結果,eotaxinについては各種サイトカインの刺激を培養正常表皮細胞と表皮細胞株に単独あるいは複数で行うことでも産生誘導されなかったが,eotaxin2については,TNF-alphaとIL-4の刺激によって正常表皮細胞と細胞株ともに著明な産生が誘導された。Eotaxin3についても正常表皮細胞と細胞株において産生誘導されたが,eotaxin2の80分の1程度であった。以上の結果から,eotaxin2は,各種サイトカイン刺激によって表皮細胞に発現し,アトピー性皮膚炎において好酸球の局所浸潤に関与していると考えられた。
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